とあるロー生の雑記帳

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【絵画】アルチンボルド展の覚書(途中まで)

国立西洋美術館で開催されているアルチンボルド展に行ってきたので、感想や新たに知ったことなどを覚書的に書き留めておこうと思います。

(※アルチンボルド展に足を運び、本記事を書き始めたのは今から1カ月ほど前のことでした。その後、本記事を書きかけのまま放置してしまっていました。よって途中までしか書かれていませんが、とりあえず公開します。)

 

アルチンボルドについて

アルチンボルドの人生を大まかに区分するならば、次のように3つの時代に分けられる。ミラノの時代、ハプスブルク宮廷に仕えた時代、晩年のミラノの時代、である。本展覧会の目玉作品である四季の連作と四代元素の連作は、ハプスブルク宮廷の時代のもの。どちらもマクシミリアン2世に献上された作品であった。また、アルチンボルドは宮廷画家であると同時に、宮廷での儀式をアレンジするアートディレクター的な存在でもあった。宮廷画家としての役割を終えて晩年にミラノに戻ると、肖像画でありながら静物画としての色合いが濃かったアルチンボルドの作品はミラノの画家たちに影響を与え、ミラノで静物画が広く描かれるようになる一助をなしたと考えられる。

 

・四季の連作と四大元素の連作について

マクシミリアン2世に献上された作品であるとされている。寄せ絵の技術が注目される作品たちであるが、その奇抜さの中に、しっかりと皇帝礼賛のシンボルが散りばめられている。また、作品のテーマである四季と四大元素(大気、火、大地、水)自体、皇帝があらゆる時代(時間?)と森羅万象を支配するというイメージに立脚するものである。

正直に言うと、僕は本展覧会に足を運ぶ前には、この連作にある種の気持ち悪さを感じていた。例えば《春》には、花びらの微細な描写が密に集合しているさまに、集合体恐怖のような気味の悪さを感じていた。また《水》では、頭部を構成する海洋生物のリアルな描写があまりに生臭く感じられた。そういうわけで、パソコンの画面や雑誌の紙面でこの作品を目にするたびに、背中がゾワゾワとして鳥肌が立つような気持ち悪さを感じていたのだが、結論から言うと、本物を目にしたときにはそのような感覚は無縁であった。その理由は、アルチンボルドの描く植物や生き物は一つ一つが可愛らしく生き生きしていることにあると思う。例えば、《春》を構成する花は一つ一つの形が整っている。また実物をよく見ると、花びらの部分では微妙に絵具が盛り上がっている箇所もあり、そうした表面の僅かな立体感が、鑑賞者に自然な印象を与えているのだと思う。

 

ここまでw